茶助の備忘録

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【病院薬剤師】検診なめんな!その①

病院薬剤師の茶助です。家帰れば二児のパパ、あるいは投資家(インデックス投資のみ)です。まぁそれはいいや。

 

病院薬剤師になって、色々な面白さに気づく毎日です。「自分のペースで仕事できる」「患者さんを一貫して見られる。投薬以外にも背景の診察・病名・処置や手術、その人の家庭や性質まで」「薬剤師ならではの気づき・工夫が反映される」・・・このタイトル時は、同じような事ばっか言っていますね。

 

そんな中で、今日は「検診なめんな!」と言いたいです。言葉汚いのは、本気で嘆いているからです。

 

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【病棟業務の実例①】

今年の3月、入院してきた70前の男性。貧血でえらくて受診。

●診断名:「大腸がん+肝転移疑い」

貧血は大腸がん・肝転移の進行で貧栄養になったからだろうと診断され、鉄剤服用(注射)では間に合わないから輸血(輸血は最後の手段です!)。

がんには進行度に合わせて、ステージ0・1・2・3・4の順に重症です。この人は確定していませんが、ステージ4の可能性高い(多臓器への転移の為)。

 

僕と患者様の会話です。

僕:「お薬は何か飲まれていますか?」

患者さん:「いや、何も。」

僕:「そもそも、定期的にかかる医院・病院はあります?」

患者さん:「僕は病院や医者がきらいでね、年1回の健康診断の通知も無視してるんだよ。」

僕:「お時間ありがとうございました」(心の中:だから進行がんが見つかるんだよ。検診なめんな!)

 

僕だけじゃなく、うちのドクターみんながなげく内容です。うちで進行がんが見つかる人は、キーワードがあります。

 

「病院嫌い」「検診の通知を無視」

 

【検診と進行度(=重症度)は関係あり?】

あまりにも「検診じゃなく、自覚症状でて受診したら末期がん」のパターンが多いのです。じゃあはっきりとした関係あるはずたと思って・・・

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がん発見の場面(検診か以外か)と進行度

関係大ありですね。遠隔転移(最も進行・重症)のがんは、検診でみつかる場合はほとんどなし(肺癌で10%超える程度)。でも検診以外でみつかると、どのがんでも10%を超えている。

 

【遠隔転移見つかってから】

手術すらできない場合もしばしば。理由は

①体力落ちていて手術に耐えられない

②切る範囲も多く、全身何か所もある

③遠隔転移する=血液中にがんがばら撒かれてて、またそれが生えてくる

 

そうすると、化学療法しかありません。じつはいま僕、この化学療法に打ち込んでいます。Excel抗がん剤の自動用量計算・点滴手順・治療スケジュールをまとめたものをつくり、また電子カルテでセット作成しています。

 

それは、去年の夏、自分の父親くらいの患者さんに言われた言葉があるからです。

 

「僕は末期の胃癌だろ?手術できんから、薬勝負なんだろ?本当にこの化学療法でいいのか、調べてくれよ!」

 

この人も検診以外で癌見つかった人でした。助かりたい気持ちと、抗がん剤コレでいいのかっていう疑い。それが強かったから「化学療法薬の整備しなくては!」って思ったのです。遠隔転移のステージ4だと、もう余命半年とかです。来年の今日はないのです。これに答えないとなって思ったのです。

 

ちなみにこの人、とても賢い方で俳句で入賞し、NHKホールに呼ばれるほどの人でした。でも断ったそうです。「僕の命が続かなそうだから」って。なんとか救いたかったです。

 

【検診は最優先で受けて!】

検診受診率を上げる為、涙ぐましい努力がある。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000032831.pdf

日本の検診受診率は先進国最低クラス。

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検診以外で、がんが見つかったら。いうまでもないですね。